3.森と人をつなぐ楽しい木工の実験

 木材を使うと自然破壊につながると思う人もいます。一方で、熱帯雨林の樹木なら伐採しても、次から次に大きくなるから伐採してもいいと考える人もいると思います。どうなんでしょう?

 まず、木材を使うと自然破壊につながるのか? 答えは、現代には使われるべき木材もたくさんあるということです。それは、使われるために植林された人工林から得られる木材です。スギという本州〜九州の環境で生長が著しい樹種、さらに野生のスギ郡からまっすぐ育つ個体を選別し、その個体の種や枝からクローンをつくり、植樹されたスギ(そう、まっすぐスギの分身の術)の人工林。その中でも、間伐(比較的生長が遅い木を伐採して木と木の間隔をおおよそ等間隔にすること)してもらって太陽の光をめいいっぱい浴びられた、ぬくぬく過保護材は、太くて立派な割に、年輪幅が広く、強度はいまいちです。でも、光合成を盛んに行って炭素を樹体に固定して(大気中の二酸化炭素を減らして)いるので、スギ材として生活の中でできるだけ長く有効的に使いたいです。一方で、枝打ち(枝を鋸で除去)、最低限の間伐で、ゆっくりした生長なら、適度に年輪密度が詰まった比較的強い人工林材になり、50年〜100年間、人の住処や家具・道具として形作ってくれます。人工林は畑です。畑で得られた農産物は(放置林から得られる木材も含めて)じゅうぶんに活かされるべきです。

 次に、熱帯雨林の樹木なら伐採しても、次から次に大きくなるから伐採してもいいか? 答えは、樹木だけで考えてはいけないということです。熱帯雨林の大きな一本の樹木に住みつく生物たちは考えられないくらい量だといわれています。住処だけではありません。いきものたちのハイウエイでも電波塔(情報源)でもあります。その一本で絶滅する希少種もあるかもしれません。人間の生活をほんのちょっと豊かにする一本でも、多くの生命を育む一本でもあります。熱帯雨林の樹木がすぐに成長するからといって、けっして安易に伐採してはいけません。地面から上の『樹木の姿』だけで考えてはいけません。

 国内には、それでも既に人工林の材も熱帯雨林の材も、国内の天然林の材も出回っています。お持ちの場合は(或はホームセンターや家具屋さん等で)じっくりと木材に創られた「生きてきた証」を五感で働きかけてみてください。触って見つめるだけでも、木々の声が聞こえてきます。もっと触って使って語りかけてみると、木々だけではなく森の中に住んでいたいきものたちの声が聞こえてきます。

https://sites.google.com/view/nekkon-na-mori/森つなぐ木工

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