1.曲がるスギ材をつくる・活かす 実験

 新しい素材は、樹木(たとえば人工林のスギ)が生育環境で備わっていた生物的な変形特性を引き出す方法でつくられます。伐採・製材後、乾燥前のおいしそうな帯状の板を、柾目や板目にかかわりなく、温めることもなく、支持体の形状に従って、あたかも私たちが筋肉のストレッチをするように、繊維間をゆっくり伸ばしながら、位置をずらしながら変形させていきます。すると、節があっても、穴があいていてもきれいに曲がっていきます。

 曲げられた素材は、もちろん、スギ材そのものの「香り」と「艶」と「響き」のままです。熱を加えてないから、香りや艶、リラックスの成分が飛んでいくこともありません。煮込み用の水槽もいらないから素材の長さに制限はなく、曲げられる長さも無限大(製材できる最大の長さ)です!

 そしてさらには、その形状に乾燥させた後に、曲率半径を自在に変更させることもできます。バネのように伸び縮みする不思議なスギ材です。

 日本各地の人工林で成熟したスギ材や放置林のスギ材を、このバネのように伸び縮みする不思議なスギ材に変えて、趣味の領域から工芸領域、家具や内装領域から建築構造部材の領域まで、曲線、曲面を楽しむ木材として利用していただければ有難いなと思っています。

https://sites.google.com/view/nekkon-na-mori/曲がるスギ材

根っこんな森の実験室 の目的

 宇宙人がみても奇跡としか思えない素晴らしい環境の中にある地球。いきものが育むために安全な環境にあります。その地球の中でも日本列島は、外国人が見ても、いきものが育むためにびっくりするほどふさわしい、素敵な環境にあります。

 ところが、緑豊かなはずの日本列島も、けっこうピンチです。TV番組でもよく「緑豊か」「大自然」と呼ばれてしまう「人工林」は、いきものの住か(すみか)としてはどうでしょう? 「街路樹」はどうでしょう? 材料を生産する「畑」だったり、往来空間の「飾り」だったりではないでしょうか。そこには植えられ生かされている樹木という存在だけで(いつ倒れるかわからないし)、自然環境や生態系には直接つながっていないようにみえます。

 そこで、本実験室は、生態系がつながるために必要な、根っこが張り巡らされた本来の森を日本列島に少しずつでも蘇らせたいと考え、その手段として、
1.曲がるスギ材をつくる・活かす実験(人工林材を曲げてバネにして活用)、
2.根っこんな森への一歩ずつの実験(根っこを切らない植樹方法の開発やシカ対策法の考案)、
3.森と人をつなぐ楽しい木工の実験 (伝統にこだわらず、森に想いを馳せた木工術のご提案)
の3本の実験に取り組んでいくことを考えました。一歩ずつですが、広がり、根づき,楽しみながら、実現をめざします。

 ところで、ヒトは なぜ地球上に誕生したのでしょうか?

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